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Chrome 119 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 119の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
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Chrome 119 変更点
追加・拡張
CSS
- :user-valid擬似クラス・:user-invalid擬似クラス…ユーザー入力後の入力値の判定結果による表示の切り分けができるようになります。
類似する擬似クラスとして:valid・:invalidが存在しますが、:valid・:invalidには[入力途中から判定が有効になり入力中に不正判定される]という問題点がありました。
:user-valid・:user-invalidは入力・操作の後に判定が発生するようになっており、:valid・:invalidの問題が解消されています。
- Relative Color Syntax…CSSでの色指定について、既存の色の特定パラメーターを関数・計算式で変換する指定ができるようになります。
- clip-pathプロパティ(画像等をパス指定でクリッピングする設定)利用時に、geometry-box系の値を指定することで、クリッピング領域外縁のベースを指定できるようになります。(margin-box=マージン外縁、border-box=境界線外縁、padding-box=パディング外縁、content-box=コンテンツ領域外縁 etc.) これにより精緻な領域指定がしやすくなります。
- clip-pathプロパティでクリッピングのパス指定を行う際に、xywh()形式・rect()形式での指定が可能になります。
- xywh()…左上端のX座標・左上端のY座標・パスの幅・パスの高さの順に、カッコ内スペース区切りで指定(角丸の場合はさらに round と記載したのちにborder-radiusプロパティの値と同じ形式で値を指定)
- rect()…上辺のY座標・右辺のX座標・下辺のY座標・左辺のX座標の順に、カッコ内スペース区切りで指定(角丸の場合はさらに round と記載したのちにborder-radiusプロパティの値と同じ形式で値を指定)
Web API
- Fenced Frame(コンテンツ埋め込み要素)について、プライバシーサンドボックスの範囲内で、Protected Audience APIの広告サイズマクロ指定がURL内に使えるようになります。
- Intersection Observer API(交差オブザーバーAPI…要素の画面内進入等を監視する機能)で、scrollMarginプロパティを使って、スクロールコンテナ内に入れ子になった子スクロールコンテナの動き(画面内表示成否)を監視できるようになります。
- Device Attributes Web API(デバイス属性API)…デバイス管理を行う「Managed Device Web API」のサブセットで、デバイスID・シリアルナンバー・位置等を扱えるようになります。
- WebCodecのAudioEncoderConfigが、音声のビットレートモードを指定する機能に対応しました。(constant=固定ビットレート/variable=可変ビットレート)
これに伴い、bitrateModeフラグのデフォルト値が"variable"に指定されました。
Chrome 119ではOpusとAACでのみ対応します。 - TLSの鍵カプセル化アルゴリズムについて、X25519とKyber768のハイブリッド方式(IETF標準準拠)に対応します。
オリジントライアル(先行試験実装)
- window.open()でポップアップを開く際に、フルスクリーンウィンドウとして開く機能が追加されます。
仕様変更
- Chrome 104より前に作成・更新された過去のCookie(104で有効期限の400日上限が設定されるより前の世代)について、Chrome 119移行時に400日制限が追加されます。これにより、103より前の世代のCookieは、119アップグレード・データベース移行処理完了の400日後が有効期限になります。
- Fenced Frameについて以下の仕様変更が行われます。
- 自動ビーコンが登録された全URLに送信されるようになります。
- setReportEventDataForAutomaticBeacons()にonceを使う場合、[ビーコン全体が1回送信されたか]ではなく、[データが1回送信されたか]に関する結果を返すようになります。
- スクロールコンテナがTabキー等によるフォーカスナビゲーションの対象にデフォルトで含まれるようになります。以前はtabIndexの値を明示的に0以上にする必要がありましたが、この条件がなくなります。
- Chrome for Android Automotive(BuildInfo::is_automotiveのもの)で、プライベートネットワークアクセスの制限が、[警告のみ]から[強制制限]に変更されます。サブリソースへのプリフライトリクエストや、ワーカーからのアクセスについて制限が適用されます。
- リンクの表示先指定(target="○○")について、指定文字列内に「\n」「<」が入り込んでいる場合、強制的に別タブ表示(target="_blank"相当)に切り替えられるようになります。
- Sec-CH-Prefers-Reduced-Transparencyがユーザー側のUI透明度低下設定(prefers-reduced-transparency)を反映させるようになります。
- URL内の句読点(カッコ等を含む)の処理がURL標準に準拠するようになりました。URLへの利用が禁止されている文字を使った場合、エラーとして扱われるようになります。
廃止・削除
- Web SQL…Chrome 119で機能が削除されます。廃止を猶予するデプリケーショントライアル(逆オリジントライアル)の利用をオリジン(≒ドメイン)ごとに登録することで、Chrome 123まで利用を延長できます。
- Sanitizer API…信頼されていない外部提供元から取得したHTMLのセキュリティ問題を解消する機能について、当初Chromeが105で実装したものをいったん削除します。現在の策定中の仕様(Chromeに実装されたものと大きく違う)がまとまった段階で、改めて再実装される予定です。
- SVGUseElementでdata:URLを付与する機能について、クロスサイトスクリプティング(XSS)脆弱性があるため、非推奨化・削除が行われる予定です。
- 宣言的シャドウDOMの有効化に使うshadowrootmode属性がChrome 111で実装されたのに伴い、それまで使われていたshadowroot属性が119で削除されます。Chrome 119公開までにshadowroot→shadowrootmodeの置換処理を行うことで対応可能です。
※参照:Chrome 119 beta - Chrome Developers (2023/10/06)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-119-beta/
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