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ケーススタディ:キャンペーンのスパイクアクセスに耐えるAWSサーバー構成例

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販促用プレゼントキャンペーン等をデジタル媒体で行う場合、バックエンドで動くサーバーの安定性・セキュリティは重要な要素です。過去マックスマウスで担当したプロジェクトをベースに、注意点と対策をご紹介します。

要点

  1. デジタルキャンペーン用のサーバー構築は、スパイクアクセス対策が課題
  2. AWSなら、CDNやサーバー自動増減による負荷調整、WAFによるセキュリティ対策等、必要な環境が一通り揃う
  3. 構築から保守運用まで一貫対応し、障害が起こってもすぐに対応できる体制を確保することも重要

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デジタルキャンペーンは、スパイクアクセスをどうさばくかが重要

昨今Web・SNS等のデジタルキャンペーンは、サーバー不要で行える簡易な手段も出てきましたが、施策によっては今も独自サーバーが必要なケースが多々あります。例えば、SNSのAPIを使った独自システムの開発が絡む場合、基本的に処理を行うサーバーは自前で用意することになります。

キャンペーンの場合の注意点として、サーバーはアクセス集中、特に受付開始直後やその後の告知直後に発生する短時間の急なアクセス増加(スパイクアクセス)に耐え切ることが求められます。

  • テレビで告知・紹介が行われた場合
  • 多数のファンを抱える人気作品・芸能人とコラボした場合

等は特に要注意です。

アクセス集中に耐えきれずにサーバーがダウンすると、応募が全てエラーを起こし、大規模な機会損失となります。そのため、サーバーの構成・運営体制は、キャンペーン施策の成否を分ける重要な要素といえます。

とはいえ、サーバーをスパイクアクセスに耐えられる超高性能状態で全日程常時用意すると、その分がコストに跳ね返ります。コストを効率化するには、普段は普段向けの処理能力・構成を維持しつつ、必要なときだけ弾力的に強化する仕組みが必要です。

AWSでサーバーを構築する場合の構成例

AWSでのサーバー構成例を下図で示します。実際にこのような構成で、キャンペーン施策用のサーバー構築・運用をマックスマウスで担当したりしています。

サーバー構成図

SNS上で実施するキャンペーンの場合、SNSメッセージ機能を使ったコンテンツ配信・応募受付を処理するサーバーを、上図のような形でバックエンドに用意します。

人気作品等とコラボしたキャンペーンの場合はスパイクアクセス数の想定が特に困難で、十分な対策を行っておく必要があります。

ポイントとしては以下の通りです。

  • システム用のサーバーにAmazon EC2、データベースにAmazon RDSを使用し、それぞれマルチAZ構成にしつつ、負荷に応じてサーバーを自動増減(オートスケール)することで、負荷分散・耐障害性向上を実現
  • コンテンツ送信用CDNとしてAmazon CloudFront、ロードバランサーにAWS ALBを使用し、負荷を分散
  • Webアプリケーションファイアウォール(AWS WAF)で不正アクセス対策

ALB・EC2・RDSまでを、仮想プライベートクラウド(VPC)内に構築しています。

マルチAZで耐障害性を確保

システムを稼働させるサーバー(Amazon EC2)とデータベース(Amazon RDS)は、常時複数のアベイラビリティゾーン(以下AZ)で冗長化し、サーバーやデータベース障害のみならず、AWS側の障害であるAZ障害に対しても稼働し続けるようにします。これにより可用性・耐障害性がアップします。

RDS(マルチAZでMySQLが稼働)は、メインデータベース(DB)1つが処理をしながら他のAZのサブDBにデータレプリケーション(複製)を行い、メインDB障害時には接続先をサブDBに自動で切り替える仕組みにします。

各AZのEC2に対応を振り分けるロードバランサーとしてはAWS ALBを利用します。

オートスケールで各サーバーの処理能力を確保

システム処理を担当するEC2は、マルチAZによる冗長化に加え、AWS Auto Scalingを使ってEC2インスタンス稼働数の自動増減(オートスケール)を行います。

EC2の負荷・リソース状況の監視にはAmazon CloudWatchを利用します。上限・下限の指定閾値を超過した際に、AMIイメージを使ってEC2インスタンスを自動的に増減させる仕組みになっています。

加えて、AWS Lambdaを利用すると、EC2の増減に依存しないところで、プログラムコード(Java / Python / node.js等)がサーバーレスで実行可能になります。Auto Scalingと連携させてサーバー台数を減らす際に特定の処理を行ったり、CloudFrontと連携させてより精密なページ制御を行ったりする際に役に立ちます。

CDNでコンテンツをキャッシュ処理させ、負荷を軽減

大量のアクセスがあるコンテンツをスムーズに配信するには、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の利用が有効です。分散配置された大量のキャッシュサーバー群により、コンテンツ配信に関わるサーバーの負荷集中を避けることができます。

ここではCDNにAmazon CloudFrontを使用し、コンテンツ配信の安定化を行います。

WAFで不正アクセスを防止

サーバーの安定稼働とは別に重要なのが、不正アクセス対策です。システムの仕様の穴を突くキャンペーン不正行為(応募数の水増し等)や応募データベースの個人情報詐取等を防ぐ必要があります。

パラメーター改竄等によるプログラムの不正操作を狙ったアクセスは、通常のファイアウォールで防げないことがあります。これを補完するのが、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)と呼ばれる不正アクセス検知・遮断システムです。

ここではAWS WAFを使用し、キャンペーン実施に必要な不正アクセス対策を行います。

運用・保守もワンストップで一貫対応

キャンペーンを成功させるには、サーバーの運用体制も重要です。

該当する過去のプロジェクトでは、サーバー構築に加えて運用・保守もマックスマウスのネットワークエンジニアが直接行うことで、障害が発生しても適切に対応できる体制を組みました。(24時間有人監視等、限定した部分のみパートナー企業に委託)

まとめ

デジタルキャンペーン用サーバーは、スパイクアクセスをしのぎ切るアクセス分散能力・耐障害性の確保、不正アクセス対策等が構築時のポイントになります。AWSを使うと、これら必要な環境がAWS内で概ね完結します。そのうえで、構築時の構成を熟知したネットワークエンジニアが運用・保守体制に入ると、さらに信頼性が高まります。

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