デジタルマーケティングTips
Chrome 126 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 126の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
- 追加・拡張:
以下の機能が追加・拡張され、表現力・利便性が向上します
別ページ遷移(MPA)のトランジションが実装しやすくなる
ゲームパッドや複数ペン等外部機器制御が強化される
エンコードの用途別設定やメタデータ編集が強化される 等
- 仕様変更:
以下の仕様が変更されます
これを使用している場合は設定の移行等が必要になります
アクセシビリティツール連携がUIA直接対応に移行する 等
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追加・拡張
CSS:View Transitions APIがSPA以外にドメイン内ページ遷移でも使用可能に
- View Transitions APIを使った表示切り替え時のトランジション処理は従来同ページ内のドキュメント更新(≒シングルページアプリケーション、SPA)に限定されていましたが、新たに同ドメイン内別ページへの遷移時にも使用できるようになります。 利用する場合は遷移前・遷移先双方のページのCSSでトランジションを有効にしておく必要があります。
Web API:ゲームパッドのトリガー振動制御
- GamepadHapticActuatorインターフェイス…Gamepad API(ゲームコントローラー制御機能)の振動/触覚フィードバック制御で、グリップ部とは別に左右トリガーボタンの振動(Xboxのインパルストリガー等)が制御できるようになります。
Web API:Opusエンコード時のパラメーター設定詳細化
- WebCodecs APIでOpus形式の音声エンコードを行う際に、種類・用途別のパラメーター指定ができるようになります。
- OpusEncoderConfig.signal…音声信号の種類を指定し、圧縮を最適化させます。auto(自動判別)、music(音楽)、voice(発話)のいずれかを指定できます。デフォルト値はautoです。
- OpusEncoderConfig.application…音声の用途を指定し、圧縮を最適化させます。voip(言語判別性重視)、audio(原音再現性重視)、lowdelay(低遅延性重視)のいずれかを指定できます。デフォルト値はaudioです。
Web API:複数のペンデバイスの認識に対応
- PointerEvent.pointerId…PointerEventインターフェイスがペン入力を扱う際に、複数のタッチペンに個別のIDを振り分け、各ペンを識別した入力処理を行えるようになります。
(ChromeOS)Web API:タブつきWebアプリ
- Chrome OSで、プログレッシブWebアプリ(PWA)のディスプレイモードを"tabbed"に指定すると、単一のアプリウィンドウ内にタブ切り替えを実装できるようになります。
Web API:取得位置情報のJSON出力に対応
- Geolocation API(位置情報取得)で、以下のインターフェイスがtoJSON()メソッドに対応し、JSON形式での出力が可能になります。
- GeolocationCoordinatesインターフェイス…端末の緯度・経度・海抜高度、位置情報の精度、移動方角(0~360度)、移動速度(m/s)が種類別に分けて取得できます。
- GeolocationPositionインターフェイス…端末の現在位置と、それを取得した時刻の情報が取得できます。
Web API:スクロール停止に伴うイベント処理の選択肢追加
- visualViewport.onscrollendイベントハンドラープロパティ…画面表示範囲で、scrollendイベント(マウスやタッチパネルでのスクロール操作停止時に発行される)の発生に伴う処理を行えるようになります。
Chromeだと同様の処理は visualViewport.addEventListener("scrollend") のような記述で既に実装可能ですが、選択肢が増えたかたちになります。
Web API:WebGLオブジェクトの検証環境改善
- WebGLObject Web IDL スーパーインターフェース…WebGLオブジェクトについて、WebGLのインターフェイス定義言語(IDL)に基づいたデバッグができる環境が整備されます。
Web API:WebRTCのメタデータ操作
- WebRTC Encoded Transform APIで、映像・音声データ本体の変換以外に、付随する映像メタデータ・音声メタデータの操作もできるようになります。例としてはタイムスタンプの修正(⇒遅延の制御)、MIMEタイプの変更、別の接続への転送等です。
Web API:Escキー・戻るボタン等による閉じ操作対応(再実装)
- CloseWatcher API(要素を閉じる操作の受付・応答)…キーボードのEscキーやAndroidの戻るジェスチャー/戻るボタンを使用して、「閉じる操作」のリクエストを受付できるようになります。これにより、dialog要素やpopover属性によるダイアログをEscキーや戻るボタン等で閉じられる仕組みが実装できます。
※本機能はChrome 120で実装されたのち、問題発生により一時キャンセルされていました。Chrome 126で再実装になります。
オリジントライアル(先行試験実装)
FedCM(ID認証連携)関連の強化
- FedCMとStorage Access APIの関係が調整され、FedCMに自動的にローカルストレージアクセス許可が付与されるようになります。これによりFedCM実装時の許可関連の処理が円滑化され、ユーザー体験の改善につながります。
- FedCM関連で以下の機能が追加されます。
- Continuation API…IDP(認証提供元)側から、ログイン処理終了時にポップアップウィンドウを開いて追加情報を表示できるようになります。
- Parameters API…RP(認証提供先=ログイン先)側がIDアサーションを行う際にパラメーターを付与できるようになります。
- Scope API…RPがIDPの要求に応じてデータ共有プロンプトをバイパスできるようになります。
- IDP側で、認証コンテキストの違いに応じて別々の設定ファイルを使い分けることが可能になります。また、認証設定ファイルを使い分ける際に、対象アカウントをリストに基づいてフィルタリングすることも可能になります。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
Web API:SVGクリップボードコピー時の文字コード変更
- Async Clipboard APIでSVG形式の図形データ(image/svg+xml)をクリップボードに登録する際の内部文字コードをUTF-8に変更します。これにより、Windows環境においてChromeと他アプリ間でSVGコピー&ペーストの相互運用性が向上します。その他のプラットフォームでは、クリップボード登録前にUTF-8でSVGデータをシリアル化する作業が入ります。
CSS:アクセシビリティ関連のMS UIA直接対応&UIAエミュレーションレイヤー廃止
- Chromeを含む各種ChromiumベースのブラウザをWindows用外部アクセシビリティツール(スクリーンリーダー等)と連動させるための仕組みとして、Chrome 126からマイクロソフトのUIオートメーション(UIA)フレームワークの直接的サポートが開始されます。これに伴って、Windows UIAエミュレーションレイヤー(以前からChromium系ブラウザでパフォーマンスの妨げになっていた)への対応は廃止されます。
その他の従来のアクセシビリティフレームワークについては、Microsoft Active Accessibility (MSAA) およびIAccessible2 (IA2) は引き続きChromeでのサポートが継続します。
デプリケーショントライアル(仕様変更猶予/廃止猶予)
スクロールコンテナのTab移動対象追加の猶予
- スクロールコンテナ(ページ内のスクロール発生セクション)がTabキーでのフォーカス対象に追加される仕様変更について、ドメイン単位で適用を猶予するデプリケーショントライアルが申請できるようになります。有効バージョンはChrome 135までです。
※本機能はもともとChrome 124~125で実装予定でしたが、問題が見つかったためいったんキャンセル・延期されました。2024年5月時点ではChrome 127で再実装される予定になっています。
カメラ/マイクプレビュー適用の延期
- 今後ChromeではWebサイトが端末のカメラ・マイクへのアクセス権を要求したときに、リアルタイムプレビューを表示する仕様変更が行われます。この仕様変更に起因する問題への対応が間に合わない場合、該当サイトのドメインをトライアルに登録すると、仕様変更の適用を延期できるようになります。
※デプリケーショントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
※参照:Chrome 126 beta - Chrome for Developers (2024/05/16)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-126-beta
Roadmap - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/roadmap
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