デジタルマーケティングTips
Chrome 127 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 127の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
- 追加・拡張:
以下の機能が追加・拡張され、表現力・利便性が向上します
・英字大文字小文字のサイズバランスが調整可能になる
・::before等の表示内容に要素属性値を自動挿入できる 等
- 廃止・削除:
以下の機能が使用できなくなります
これを使用している場合は設定の移行等が必要になります
・プライベートIPアドレスへの接続制限が増える
・サードパーティCookieが2025年第1四半期から本格的に廃止される 等
メルマガでも情報を配信中です! ぜひご登録ください。
追加・拡張
CSS:英字小文字のフォントサイズ調整
font-size-adjust
プロパティ…アルファベットの小文字のフォントサイズ、および正規化の対象とするフォントメトリックを指定できます。
CSS:要素追加表示の代替テキスト仕様拡張
content
プロパティ(::before
擬似要素等の追加表示コンテンツ指定)で、/のあとに代替テキストを指定する際の仕様が拡張されます。- 複数の代替要素を指定できるようになります。
attr()
関数(要素の属性値呼び出し)に対応します。
CSS:iframe内へのトランジション適用拡大
startViewTransition()
メソッドを使って同一ドキュメント内表示変更にトランジションを適用する場合、これまで埋め込みiframeは親フレーム遷移中には一緒にトランジションが行われませんでしたが、親フレームと一緒にトランジションが適用されるようになります。
Web API:広告アトリビューション関連の機能強化
- Attribution Reporting API(広告効果測定等)で、以下の機能強化が行われます。
- Aggregate Debug…デバッグレポート機能がサードパーティCookie廃止後も機能するよう改修されます。
- Attribution Scopes…アトリビューションのフィルタリングがより細かく制御できるようになります。
Webアプリ:一部の操作で表示コンテンツ自動全画面化
- Webアプリにおいて、コンテンツの全画面化操作をユーザーが行わなくても、以下のような状況でコンテンツを全画面表示できるようになります。(Window Management API許可・ポップアップブロック解除との組み合わせが必要)
- 動作に応じて別ディスプレイに全画面ポップアップを開く
- 動作に応じて複数のディスプレイに全画面コンテンツを表示する
- 新規ディスプレイ接続時、該当ディスプレイに全画面コンテンツを表示する
- 動作に応じて全画面表示のディスプレイを入れ替える
- 動作の有効期限終了後に全画面コンテンツを表示する
Web API:ドキュメントピクチャーインピクチャー許可の伝播
- ドキュメントピクチャーインピクチャーにおいて、ユーザー側のアクティベーション処理が、ウィンドウの親子で伝播・共有されるようになります。
Web API:ES modulesの呼び出しモジュール完全性検証
- ES modulesのインポートマップにintegrityセクションが追加され、モジュール呼び出し時に完全性をチェックできるようになります。
URLパラメーターの有無によるキャッシュ処理の切り分け
No-Vary-Search
レスポンスヘッダーでのキャッシュ指定(URLが同一パス・パラメーター違いの場合に、別ページとみなして個別にキャッシュするか否か)について、プリフェッチに加えてプリレンダリングについても有効になります。
Web API:メディアのチャプター情報付加
- Media Session APIで、メディアのチャプター情報(セクションタイトル、タイムスタンプ、セクションスクリーンショット)がメディアメタデータに保存できるようになります。
なお、ここで追加されたデータはChrome OSのメディア通知で利用されますが、Chromeブラウザの再生コントロール等の表示には使用されません。
Web API:GPU情報の取得機能強化
- WebGPU APIの
requestAdapterInfo()
メソッド(GPU情報の取得)について、同期した属性情報取得についても非同期と同様の取得ができるようになりました。
オリジントライアル(先行試験実装)
Brotli/Zstandard圧縮の機能強化
- 共有辞書を使ったBrotliおよびZstandardでの圧縮転送について、前のレスポンスを外部共有辞書に指名して使用する機能が使えるようになります。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
スクロールコンテナをキーボードフォーカス対象に変更
- Tabキーでのフォーカス移動(アクセシビリティ対応時に重要)について、スクロールコンテナ(枠のサイズ指定に収まらないコンテンツをスクロール表示させる要素)が移動対象になるかどうかの条件が変更されます。デフォルトの動作は[Tabキー移動対象外(拾われない)]から[Tabキー移動対象(拾われる)]に変更されます。
- 変更前…
tabindex
属性の値が0または正の数で明示的に指定されている場合のみ対象
(<○○ tabindex="0">
等0以上の属性値があればTabキーを打ってフォーカスが該当領域に止まるが、それ以外は基本的に素通りする)
↓ - 変更後…
tabindex
属性の値が負の数で明示的に指定されている場合のみ対象外で、それ以外は対象
(<○○ tabindex="-1">
等マイナス属性値があればTabキーを打ってもフォーカスが該当領域を素通りするが、それ以外は基本的に止まる)
tabindex="0"
等で明示的に移動対象に指定しないと、スクロール要素への移動がスキップされ、子要素に直接フォーカスが飛びます。 - 変更前…
- 対応が間に合わない場合、デプリケーショントライアルを申請することで、Chrome 132まで適用を猶予できます。
また、Chrome Enterpriseポリシーの「KeyboardFocusableScrollersEnabled
」のオプトアウトでも、Chrome 134提供終了まで組織内の仕様変更猶予が可能です。
デプリケーショントライアル(仕様変更猶予/廃止猶予)
サードパーティデータ環境の分割猶予(Chrome 132まで)
- サードパーティ環境のローカルストレージ・Service Worker・通信APIが分割・隔離される件について、仕様変更を猶予するデプリケーショントライアルの第2弾が開始されます。127~132の期間中有効です。113~126のトライアルの延長ではなく、127~132用の申請・トークン設置が別途必要です。
本件は、Storage Access APIがChrome 125からCookie以外のストレージにも対応可能になったことによる移行が間に合わない場合向けの追加措置です。
Mutation Eventsの廃止猶予(Chrome 134まで)
- Mutation Eventsの廃止(後述)について、デプリケーショントライアルを申請すると、該当サイトに限り廃止をChrome 134提供終了時まで猶予できます。
スクロールコンテナのキーボードフォーカス対象化猶予(Chrome 132まで)
- スクロールコンテナのTabキーフォーカス対象化について、デプリケーショントライアル申請により、対象サイトへの適用をChrome 132提供終了時まで猶予できます。
※デプリケーショントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
廃止・削除
プライベートIPアドレスへのアクセス制限
- IPアドレス[0.0.0.0]へのアクセスが遮断されるようになります。
- 公開WebサイトからプライベートIPアドレスへのサブリソースアクセスについて、セキュアな環境でのみアクセス可能なように制限され、それ以外は遮断されます。
サードパーティCookieの廃止(2025年初頭~)
- サードパーティCookieの廃止が2025年第1四半期から本格的に開始されます(現在はテスト用に数%制限されている段階です)。利用しているWebシステムでは、サードパーティ環境でローカルストレージを扱う代替技術等への移行が必要になります。
Mutation Events廃止
- Mutation Events(DOM要素・ノードの変更監視等)への対応が廃止されます。
前述のデプリケーショントライアルにより134までの猶予が可能です。
カスタム擬似クラスの旧書式廃止
- カスタム擬似クラスの旧書式(
:--○○
)への対応が廃止されます。該当するコードが残っている場合は、:state(○○)
への移行が必要です。
※参照:Chrome 127 beta - Chrome for Developers (2024/06/12)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-127-beta
Roadmap - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/roadmap
マックスマウスからのお知らせ
Web制作・マーケティング担当者向けのお役立ち情報をメールマガジンでお届け!
WebサイトやSNSでの情報発信の安定化・効率化、CMS導入・運用、脆弱性対策、Flashコンテンツ置き換え、Webプロモーションなどなど、Web制作・マーケティング関係者向けの課題解決に役立つ、便利なサービス情報や活用法などをご案内します。
いますぐご登録ください!