デジタルマーケティングTips
Chrome 128 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 128の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
- 追加・拡張:
以下の機能が追加・拡張され、表現力・利便性が向上します
・ルビのレイアウト設定機能が強化される
・複数ペン認識の信頼性が向上する 等
- 仕様変更:
以下の仕様が変更されます
これを使用している場合は設定の移行等が必要になります
・ドロップダウン選択肢のサイズに下限値が設定される(縦横最低24px)
・zoomプロパティ(倍率制御)が新仕様で再実装される(挙動が変わる場合あり) 等
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追加・拡張
CSS:ルビ関連の機能強化
ruby-align
プロパティ…ルビ/ふりがなを、ベースとなる文字列(親文字)に対してどちら寄りに配置するかを指定できるようになります。ruby-align: space-around;
…ルビを親文字両端より少し狭い範囲で均等割り付けします。文字間とルビ両端の周囲にスペースが入ります。ruby-align: space-between;
…ルビを親文字の範囲内に均等割り付けします。文字間にスペースが入りつつ、親文字の範囲をルビが両端いっぱいまで使います。ruby-align: start;
…ルビを親文字の始点側(左→右の横書きなら左側、上→下の縦書きなら上側)に寄せます。ruby-align: center;
…ルビを親文字の中央に寄せます。文字間にスペースが入らず、中央に字が集中します。
Web API:音声関連エラー用のコールバック
AudioContext.onerror
…音声処理関連のイベントハンドラーで、音声の生成・再生でエラーが発生した場合のエラーレポートがコールバックされます。
Web API:キャレット位置の検知・処理
caretPositionFromPoint()
メソッド…指定要素(DOMノード)内のキャレット(文字入力カーソル)の位置を示すCaretPosition
オブジェクトを返します。これにより、クリック等の動作に応じてキャレット位置に指定した処理を発生させることが可能になります。
Web API:複数ペン認識の信頼性向上
PointerEvent.deviceProperties
属性…PointerEvent
インターフェイスが複数のペンデバイスを個別認識する(個別に色やペン形状等を設定する)際に、従来のPointerEvent.pointerId
よりも信頼性の高い方法が追加されます。この中のuniqueId属性でペンデバイスを識別させることで、セッション中の永続性のあるペン識別・個別処理が、ドキュメントごとに分離独立したかたちで可能になります。
Web API:Promise関連の一部書式短縮
Promise.try()
…新しい静的メソッドで、従来Promiseの処理結果を受け取る際にnew Promise(resolve => resolve(f()))
と記載していたのをPromise.try(f)
と短く記載できるようになります。
Web API:メディアセッション関連の機能強化
- Media Session APIで、SkipAdメディアセッションアクションに対応します。これにより、システムメディアコントロール内やピクチャーインピクチャーウィンドウ内にボタンを表示できるようになります。
Web API:WebAuthnのヒント機能強化
- Web Authentication API/WebAuthn(パスキー等による認証)について、新たにhintsパラメーターが使用できるようになります。社内サイト接続時に物理セキュリティキーでのみ認証が可能な場合、UIにガイドを追加する、というような活用が可能です。
Web API:OS標準の共有ダイアログ呼び出しがmacOS版にも対応
- Web Share API(OSの共有ダイアログボックスをブラウザから呼び出すAPI)について、macOS版Chromeでも新たに使えるようになりました。Android・Windows・ChromeOS版Chromeでは既に対応済みです。
オリジントライアル(先行試験実装)
オリジントライアル登録により、以下の機能が先行利用可能になります。
モバイルウォレット関連の認証機能強化(Android)
- Digital Credentials API…モバイルウォレットアプリからの認証について、従来のURLハンドラーやQRコードスキャンに加えて、AndroidのIdentityCredential CredManシステムを使ったデジタルID認証が使えるようになります。他にもISO mDocやW3Cの検証可能な認証情報等複数の認証フォーマットに対応し、複数のウォレットアプリを並行利用することも可能になります。認証情報の不正利用等のリスクを低減させる仕組みも含まれています。
FedCM関連の機能強化
- Federated Credential Management API/FedCM(サイト間ユーザー認証連携)で、以下の機能が追加されます。
- 複数IdP呼び出し…1回のget()呼び出しで、複数のIdP(認証機能提供元)に一度にアクセスし、複数の認証手段を単一ダイアログ内に呼び出せるようになります。
- (Android)Button Mode API…FedCM API呼び出し時に「ボタンモード」が使えるようになります。ボタンモード時は、アクティブなIdPセッションが存在していない場合でも、サインインボタン押下後に認証サービス名を出してID・パスワードの入力を求めたりできます。
- (Android)Continuation API…IdP側で認証完了前にポップアップウィンドウを開き、追加情報取得後にサインイン処理を完了させる、という流れを作れるようになります。
WebGPUサブグループ機能
- SIMT演算により、グループ内の通信やデータ共有の効率化、メモリオーバーヘッドの削減によるアプリ速度の向上が可能になります。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
CSS:ルビ内部の改行
display: ruby;
プロパティ指定を付けた要素について、ルビつき文字列が行末に掛かった場合、途中で折り返し(自動改行)されるようになります。
従来は親文字とルビのセットは途中での行末折り返し(自動改行)ができず、まとめて次行に送られていましたが、この変更により改行位置のがたつきを回避しやすくなります。
CSS:ドロップダウン表示サイズの下限値設定
CSS:zoomプロパティが標準的な仕様に移行
Web API:Attribution Reporting API関連の仕様変更
- Attribution Reporting APIに以下の変更が加わります。
- アトリビューションのソースと宛先の制限に関するロジック(期限切れでないソースに対して登録できる宛先は最大100件まで)に変更が加えられます。これにより転送ロス率が抑えられます。
- 貢献度によるフィルタリングがより柔軟になります。
Web API:Private Aggregation APIのデータ処理変更
- Private Aggregation API(クロスサイトデータ集計関連)の仕様が変更されます。
データをレポートに取り込む前に、同じバケットとフィルタリングIDを持つヒストグラムの貢献度をマージするようになります。これにより、データ集計リソースの限られた状態で多くの貢献度集計を行えるようになります。最終的な集計レポートの出力結果は変更ありません。
サードパーティCookieのセキュリティ強化
- パーティション分割されたCookieのキー(CookiePartitionKey)のキーリングに、「クロスサイト祖先ビット(cross-site ancestor bit)」が付与されます。この仕様変更により、パーティションキーがストレージ分割に使用するパーティションキー値と統合されます。
メリットとしては、クロスサイトの埋め込みフレームが最上位の親フレーム(サイト本体)のCookieにアクセスするのを防ぎ、クリックジャッキング攻撃(クリック操作に対する応答動作を別のものにすり替える)に対する防御を強化する効果があります。
(Windows)SVGの文字コード変更(UTF-8)
- SVG画像(image/svg+xml)をクリップボードに書き込む(コピーする)際に、文字コードをUTF-8に変換するようになります。これによりWindowsでもSVG画像のブラウザ内コピー&ペーストが可能になります。
デプリケーショントライアル(仕様変更猶予/廃止猶予)
CSS zoomプロパティの新仕様適用猶予(Chrome 133まで)
zoom
プロパティが標準的な仕様で改めて再実装された件について、新仕様への対応時間を稼ぎたい場合、オリジン単位で申請すれば、適用をChrome 133(2025/04/16)まで猶予できます。有効な間は、zoomプロパティの挙動が旧仕様のまま維持されます。
※デプリケーショントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
※参照:Chrome 128 beta - Chrome for Developers (2024/07/24)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-128-beta
Roadmap - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/roadmap
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