デジタルマーケティングTips
Chrome 129 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 129の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
- 追加・拡張:
以下の機能が追加・拡張され、表現力・利便性が向上します
・サイズ指定変更機能が強化される 等
- 仕様変更:
以下の仕様が変更されます
これを使用している場合は設定の移行等が必要になります
・エリア内相対位置指定のプロパティ名・仕様が変更される 等 - 廃止・削除:
以下の機能が使用できなくなります
これを使用している場合は設定の移行等が必要になります
・Declarative Shadow DOM関連の旧仕様が廃止される(移行先あり) 等
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追加・拡張
CSS:サイズ指定変更機能の強化
interpolate-size
プロパティ…サイズ変更のアニメーション(トランジション)を行う際に、CSSの要素固有サイズ指定に関するキーワード(auto, min-content, fit-content)が指定されていてもアニメーション可能になるかを指定できます。interpolate-size: numeric-only;
…数値でのサイズ指定のみアニメーション対象になり、キーワード(auto等)の場合は対象外です。(デフォルト値はこちら)interpolate-size: allow-keywords;
…キーワード(auto等)でサイズ指定があった場合もアニメーション対象になります。
calc-size()
関数…サイズ計算専用の関数です。calc()
が原則数値のみ対応なのに対して、calc-size()では、サイズ指定キーワードのうちauto
/min-content
/max-content
/fit-content
を数値の代わりに入れてサイズを計算できます。将来的にはstretch
やcontain
等のキーワードにも対応していく可能性があります。
Web API:ブラウザ経由の双方向データ送受信でBlob形式のデータが使用可能に
- WebRTC API・
RTCDataChannel
インターフェイスのsend()
メソッドで、Blob
形式のデータを送信できるようになります。 onMessage
イベントで、binaryType
の形式がBlobのデータを受信できるようになります。
Web API:仮想高負荷状態での動作自動検証
- WebDriver(ChromeDriver・EdgeDriver等)でWebサイトの自動検証を行う際に、コマンドで仮想負荷の作成・変更・削除を行えるようになります。高負荷状態をシミュレートした動作検証を自動化する際に役立ちます。
Web API:時間(長さ)表記の言語別書式変更
Intl.DurationFormat
オブジェクト…時間の長さを記載する際に、指定した言語コードに応じて書式を変更させられるようになります。
Web API:長いタスクの分割・応答性改善
scheduler.yield()
メソッド…長いタスクがブラウザ操作の応答性の妨げになっている場合、ブラウザにいったん制御を譲ることができます。
Web API:WebAuthnの資格情報をJSON経由で取り扱い可能に
- WebAuthn(パスキー認証等)のやり取りをJSON経由で行うためのシリアル化/逆シリアル化用メソッドが追加されました。
PublicKeyCredential.toJSON()
メソッド…PublicKeyCredential
インターフェイスの公開鍵資格情報をJSONオブジェクト形式に変換します。PublicKeyCredential.parseCreationOptionsFromJSON()
メソッド…JSON形式のデータから公開鍵資格情報を作成します。PublicKeyCredential.parseRequestOptionsFromJSON()
メソッド…JSON形式のデータを公開鍵資格情報のリクエストオプションに変換します。
Web API:WebGPUのHDR対応
オリジントライアル(先行試験実装)
オリジントライアル登録により、以下の機能が先行利用可能になります。
ファイルシステム監視・変更検知機能
FileSystemObserver
インターフェイス…ファイルやディレクトリの変更を監視し、変更が発生した場合に通知を行う処理が作れるようになります。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
CSS:位置指定プロパティの名称変更
- エリア内相対位置指定に使うプロパティの名称が、
inset-area
→position-area
に変更されます。 position-try-fallbacks
プロパティにinset-area()
関数を使って値を指定していた場合、inset-area()に入れていたものを直接指定するように仕様が変更されます。
CSS:背景ぼかしフィルターの仕様変更
backdrop-filter
プロパティ(領域の背景にぼかし等の指定を入れられる)について、端の処理を行うときに、元背景をミラーリングしたうえでサンプリング→ぼかし処理を行うようになります。ぼかしに端の色が映りこんだり、不自然なチラツキが入ったりする現象を回避しやすくなります。
Web API:Private Aggregation APIのデータ処理変更
- Private Aggregation API(クロスサイトデータ集計関連)の仕様が変更されます。
データをレポートに取り込む前に、同じバケットとフィルタリングIDを持つヒストグラムの貢献度をマージするようになります。これにより、データ集計リソースの限られた状態で多くの貢献度集計を行えるようになります。最終的な集計レポートの出力結果は変更ありません。
廃止・削除
0.0.0.0へのアクセスを遮断
- Private Network Access(PNA)仕様準拠の一環としてローカル/プライベートIPアドレスへの直接アクセスを非推奨化する際に、127.0.0.0(localhost)の抜け道として0.0.0.0が使えてしまうため、0.0.0.0は使えなくなる予定です。
Declarative Shadow DOM関連の旧仕様を廃止
DOMParser.parseFromString()
メソッドでincludeShadowRoots
を引数に使える仕様が削除されます。
本仕様は、Declarative Shadow DOMを使用するためにChrome 90で実装されましたが、現在は標準化された手法としてsetHTMLUnsafe()
・parseHTMLUnsafe()
メソッドが存在するため、それらへの移行が推奨されています。getInnerHTML()
メソッド…Declarative Shadow DOMで、シャドウルートを含むDOMツリーのシリアル化に使用する非標準の機能が削除されます。後継となるgetHTML()
メソッドへの移行が必要です。
ポインターイベント履歴取得をセキュア環境に制限
PointerEvent.getCoalescedEvents()
メソッド(ポインターのイベントをまとめて返す)を使える環境がセキュアコンテキストに限定され、非セキュア環境での対応が削除されます。(Pointer Events Working Groupの仕様に従うかたちになります)
※参照:Chrome 129 beta - Chrome for Developers (2024/08/22)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-129-beta
Roadmap - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/roadmap
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