デジタルマーケティングTips
Chrome 132 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 132の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版時点での情報です)
要点
- 追加・拡張:
以下の機能が追加・拡張され、表現力・利便性が向上します
・CSSで横書きを90度倒した配置が可能になる
・画面の動画キャプチャ―が複数画面一括や要素単位でも可能になる
・FedCMで予定表連携やアクティブモードが可能になる 等
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追加・拡張
CSS:anchor-size()
関数の利用可能範囲拡大
- CSS Anchor Positioning(複数要素配置の要素間関係設定)の機能強化です。
anchor-size()
関数(従属要素のサイズ等指定時にアンカー要素のプロパティを参照する)が、inset
プロパティ(上下左右の位置一括指定)やmargin
プロパティ(上下左右のマージン一括指定)でも使えるようになります。(従来はサイズ指定でのみ使用可能でした)
CSS:横書きテキストを横倒しにして縦方向に書くレイアウト指定
writing-mode
プロパティ(横書き/縦書き指定)の値として、sideways-rl
およびsideways-lr
が追加されます。writing-mode: sideways-rl;
…全角・半角問わずテキストブロック全体を90度時計周り方向に倒し、右書き言語(ltr
)では上から下、左書き言語(rtl
)では下から上に記述します。行単位では右から左に行が進みます。writing-mode: sideways-lr;
…全角・半角問わずテキストブロック全体を90度反時計周り方向に倒し、右書き言語(ltr
)では下から上、左書き言語(rtl
)では上から下に記述します。行単位では左から右に行が進みます。
sideways-rl/lr
とvertical-rl/lr
の違いsideways-rl
/sideways-rl
の特徴は、横書きブロック全体を90度回転させて表示することです。このため、横書きのテキストをレイアウト上横倒しにして縦に書く用途に向いています。一方で
vertical-rl
/vertical-lr
は、基本的に日本語のような縦書き文化がある言語で縦書き表示を行うための指定です。半角英数はどちらも時計回り90度横倒しで、全角文字は倒さず縦書きで表示され、行の進み方(右→左・右←左)だけをlr/rlで区別します。
Web API:複数画面の一括キャプチャー設定(PC)
- Screen Capture API(動画キャプチャー/画面共有等)の機能強化です。
getAllScreensMedia
メソッドで、マルチディスプレイ時に利用中の複数画面をまとめてキャプチャーできるようになります。従来はディスプレイ単位でユーザー操作が必要でしたが、本機能に対応することで煩雑さが軽減されます。- 本機能を利用するには、
MultiScreenCaptureAllowedForUrls
エンタープライズポリシーで許可リストに対象オリジンを指定する必要があります。 - 録画開始前に、画面録画に関する警告がユーザーに表示されます。
- デスクトップ版でのみ有効です。
- 本機能を利用するには、
Web API:ダイアログ開閉がわかるイベント
dialog
要素(ダイアログボックス)の開閉時に、popover
属性付き要素開閉と同様のイベントが発生するようになります。これにより、ダイアログ開閉の検知がしやすくなります。dialog
要素に対してshowModal
メソッドもしくはshow
メソッド⇒ToggleEvent
でnewState=open
が発生dialog
要素が閉じられる⇒ToggleEvent
でnewState=closed
が発生
Web API:要素指定キャプチャー機能
- Element Capture API…ウィンドウ/タブよりさらに細かい単位として、特定の要素だけを動画キャプチャーするAPIが使えるようになります。
Web API:FedCMの予定表連携機能
- Federated Credential Management API(FedCM、サイト間ユーザー認証連携)において、認証提供側(IdP)から認証委託側(RP)にユーザーの予定表へのアクセス権を付与できるようになります。
ただし一定の条件を満たす必要があります。- Continuation API…IdPが許可取得のためのカスタムプロンプトを表示できる必要があります。
- Parameters API…必要に応じてRPがIdPに対して拡張性のある形でやり取りができる必要があります。
- Fields API…IdPからの情報共有(氏名・メールアドレス・プロフィール画像)を参照する際に、RPが参照テキストをカスタマイズもしくは差し止めできるようにする必要があります。
- 複数の
configURL
…IdPは、認証フロー実装に際して異なるエンドポイントの使用が許可されるものとします。 - Account Labels API…認証フローと承認フローそれぞれについて、別々のアカウントを表示できるようにする必要があります。
Web API:FedCMのサインイン機能強化
- FedCMが以下の2つの機能に対応します。
- Mode API…サインインボタンのクリックでFedCMを呼び出せる「アクティブモード」が使用できるようになります。このときにFedCMは常に明示的なUIで応答する必要があります。
- Use Other Account API…IdP側で、ユーザーが他のアカウントにサインインするのを許可できるようになります。
Web API:外部取得データ処理の利便性向上
- Fetch API(外部リソース取得等)の機能強化・処理利便性向上として、
Request
およびResponse
インターフェイスでbytes()
メソッドが使えるようになります。いずれも処理したデータをUint8Array
(8ビット符号なし整数値配列)で解決するプロミスとして返します。request.bytes()
…リクエスト本体を受け取り、Uint8Arrayで解決するプロミスとして返します。response.bytes()
…レスポンスを受け取り、Uint8Arrayで解決するプロミスとして返します。
Web API:Androidでのファイルシステムアクセス機能強化
- File System Access API(端末ローカルストレージへのアクセス機能)について、デスクトップ版Chromeに続いて、Android版ChromeおよびWebView(アプリ内ブラウザ)でも利用が可能になります。
Web API:プッシュ通知メッセージのデータ処理型追加
- Push API(サーバーからのプッシュ通知受信関連)の機能強化です。
メッセージデータ処理に使うPushMessageData
インターフェイスについて、bytes()
メソッド(データをUint8Array
=8ビット符号なし整数値配列で返す)が使用できるようになります。
Web API:共有ストレージクエリ処理の保存・再利用に対応
- Shared Storage API(プライバシーに配慮しつつクライアントストレージを使ったクロスサイト追跡等を可能にする機能)の機能強化です。
selectURL()
メソッド(共有ストレージワークレットに登録した処理を実行)使用時に、オプションにsavedQuery
を指定すると、クエリをページ単位で保存・再利用できるようになります。
Web API:無効なパスキー認証の削除・更新を行うAPIが追加
- Signal API…WebAuthn(生体情報等によるパスキー認証)の機能強化です。
認証委託側(RP)から認証提供側に対して、既存の認証情報に関する通知を出せるようになります。これにより、不正な認証や認証の取り消しがある場合、認証情報の削除・更新が可能になります。
Web API:Web GPU機能強化
- Web GPU API(描画時処理のGPU利用)について、以下の機能が強化されます。
float32-blendable
…32ビット浮動小数点テクスチャ(r32float
・rg32float
・rgba32float
形式)の合成処理がGPUで処理可能になります。- テクスチャビュー作成時に、オプションのフィールドを指定することで、ソーステキストから利用状況フラグのサブセットをリクエストできるようになります。特殊なテクスチャビューを作成する場合のパフォーマンス向上に活用できます。
オリジントライアル(先行試験実装)
サイト管理者がオリジントライアル登録することで、以下の機能が先行利用可能になります。
Document-Isolation-Policy
- Document-Isolation-Policy…
クロスオリジン分離用の従来の設定(COOP・COEPレスポンスヘッダー)とは別のポリシーです。COOP・COEPに依存せず、crossOriginIsolationをドキュメント自身から有効にする実装が可能になります。
COOP・COEPの影響でSharedArrayBufferの処理がパフォーマンス不足になる場合等に活用の余地があります。
解析・コンパイル優先度に関するマジックコメント
- 優先的に解析・コンパイルする必要があるJavaScriptファイルがある場合、マジックコメントで解析ヒントを記載できるようになります。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
localhostのStrict-Transport-Security無効化
Strict-Transport-Security
レスポンスヘッダー(サーバーからクライアントに対してHTTP→HTTPSへの接続切り替えを指示)が設定された場合のChromeの挙動が変更されます。
localhost内のWebサーバーが同ヘッダーを設定していても、Chromeはそのレスポンスを無視し、localhost接続時にHTTPSに切り替えないようになります。
Private State Tokens APIの許可リストデフォルト変更
- Private State Token API(プライベートステートトークン…有人アクセスと自動化不正アクセスの識別やその他の不正アクセスに対抗する技術)の仕様変更です。
private-state-token-issuance
およびprivate-state-token-redemption
ディレクティブの許可リストのデフォルト設定がself
から*
(全オリジン許可)に変更になります。権限を個別に設定しなくてもクロスドメインで使用できるようになります。
スクロールコンテナのキーボードフォーカス対象化
- 以前からベータ版での発表後に問題が発覚し何度か延期されてきた、スクロールコンテナのキーボードフォーカス対象追加(直近では130→132に延期)について、再延期が起こらなければ132で実装される予定です。
ポップアップ/モーダル制御用メソッドがエラーを発生させるケースが増える
- 以下のポップアップ/モーダル制御用について、従来エラー発生時に何も発していなかったのが、
InvalidStateError
を発生させるようになります。showPopover()
メソッド(指定したポップオーバー要素を最上位に表示)…ポップオーバーが既に表示中の場合にInvalidStateError
が発生showModal()
メソッド(指定したダイアログをモーダルにして最上位に表示)…ダイアログが既に開いている場合もしくは既に表示中のポップオーバーである場合にInvalidStateError
が発生
GPU情報表示の仕様変更
- WebGPU API関連の仕様変更です。
GPUDevice
インターフェイスのadapterInfo
属性で取得できる情報が、GPUAdapter
オブジェクトのGPUAdapterInfo
インターフェイスと同じになります。
廃止・削除
storageプロパティによるストレージ管理のイベント連動機能を廃止
- Storage APIで、
navigator.storage
プロパティ(サイト/アプリが使用するストレージの状況確認や管理等に使用する)がEventTarget
インターフェイス(イベントに連動した処理等)に対応しなくなります。
プレフィックス付きの全画面表示APIが一部廃止(要移行処理)
HTMLVideoElement
インターフェイスから、以下のプレフィックス付きの全画面表示関連属性・メソッドが削除されます。webkitSupportsFullscreen
属性webkitDisplayingFullscreen
属性webkitEnterFullscreen()
・webkitEnterFullScreen()
メソッドwebkitExitFullscreen()
・webkitExitFullScreen()
メソッド
requestFullscreen()
メソッドがあり、そちらへの移行が必要です。
※参照:Chrome 132 beta - Chrome for Developers (2024/11/13)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-132-beta
Roadmap - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/roadmap
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