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Chrome 136 仕様変更発表まとめ

記事タイトル画像:Chrome 136 仕様変更発表まとめ

Google Chrome 136の主要な仕様変更発表のまとめです。(ベータ版発表・2025年4月3日時点での情報です)

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要点

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追加・拡張

CSS:HDR素材のダイナミックレンジ制限

CSS:印刷時の設定変更適否を指示する機能

  • print-color-adjustプロパティ新しいウィンドウで開きます…印刷時の背景色・文字色調整(白黒印刷時の可読性確保・のために黒文字・白背景に変更する等)の有無について、ドキュメント側での推奨指定をブラウザ(ユーザーエージェント)側に示すことができます。 なお、上記はブラウザ側の印刷設定を強制的に上書きできるものではなく、ユーザー設定やブラウザの実装によっては配慮されない場合があります。

Web Audio API:音声処理の一時中断指定

JavaScript:デバッグ用の関数コールスタックキャプチャー機能

  • 無限ループ等の長い計算でWebページが応答なしになった場合、処理中の関数等の呼び出しスタック状況新しいウィンドウで開きますをキャプチャーして保存する機能が追加されます。
    キャプチャー内容はChromeのクラッシュレポート用API(Reports API新しいウィンドウで開きます)に渡されます。
    開発者が原因調査・デバッグを行う際に活用できます。

Captured Surface Control API:画面共有/キャプチャー先の操作

  • 画面共有等で、共有を受ける側の操作性が向上します。
    Captured Surface Control APIでWebサイトがキャプチャー・画面共有された場合、新APIによって以下の操作が可能になります。
    • 共有表示を見ている側がホイールでページをスクロールできます。(ホイールイベントがAPI経由で共有元に伝わり、スクロールした先の画面がキャプチャーされてきます)
    • 共有表示を見ている側で表示倍率を自由に変更したりできます。(画像/映像の拡大縮小と違い、ブラウザ幅をそのままに拡大縮小機能を使ったのと同じような表示変化になります)
  • 詳細はGoogleの記事「キャプチャしたタブをスクロールしてズームする新しいウィンドウで開きます」でも紹介されています。

画面キャプチャー・共有の解像度最適化

  • 画面キャプチャー・共有時に、画面の表示倍率(物理解像度と論理解像度の比率)を取得することが可能になります。
    スマートフォンやPC用4Kディスプレイ等の高精細画面で、物理解像度そのままでキャプチャー・送信すると、受信側の画面環境によっては、表示できない細かさの映像が送られることになって、通信帯域利用が非効率になることがあります。
    このような状態の対策として、キャプチャーする側で論理解像度を算出することで、無駄を減らした効率的な画面共有が可能になります。

JavaScript:優先処理用のマジックコメント

  • JavaScriptで優先的に解析・コンパイルすべき関数がある場合、その旨を判断できる情報をマジックコメントとして記載できるようになります。

Federated Credential Management (FedCM) API:複数IdPに一括対応

WebRTC API:HEVC/H.265エンコードに対応

  • WebRTC新しいウィンドウで開きます(ビデオ会議等)で、映像送信時の圧縮形式にHEVC/H.265が使用できるようになります。H.264よりも画質(ビットレートあたりの圧縮効率)がよく、かつAV1よりもハードウェアエンコード対応(≒低負荷化)が進んでいることから、画質・使いやすさのバランスに優れたエンコード形式として活用できます。
    利用端末がHEVC/H.265エンコードに対応しているかどうかは、Media Capabilities API新しいウィンドウで開きます確認処理新しいウィンドウで開きますを入れると判別できます。

MediaRecorder API:HEVC/H.265エンコードに対応等

  • MediaRecorder API新しいウィンドウで開きますのエンコード機能が強化されます。
    • HEVC/H.265(hvc1)形式でのエンコードに対応します。
    • HEVC/H.265(hev1)およびH.264(avc3)形式に対応し、解像度を変更しながらのエンコードが可能になります。
    • MIMEタイプ的にMP4(video/mp4)とMatroska(video/x-matroska)が両方扱えるようになります。
    なお、HEVC/H.265でのエンコードはデバイスおよびOSが対応している場合のみ有効になります。

Chrome EnterpriseのIPアドレスアクセスログ機能強化

  • Chrome Enterpriseが従来収集しているローカルIPアドレス・リモートIPアドレスの情報について、Chrome Enterprise Reportingコネクタを使用して、ファーストパーティおよびサードパーティのSIEMプロバイダに送信できるようになります。

ブラウザキャッシュ管理の設定追加

  • ブラウザのキャッシュ情報管理(各ファイルのURLをキーとしてキャッシュ済みか等を記録していく)において、以下のブール値が追加されます。
    • is-cross-site-main-frame-navigation…トップレベルナビゲーション(URL遷移)に関連するクロスサイト攻撃を軽減します。
    悪意ある攻撃者がサブリソースの読み込みタイミングで機密情報を推測したり、サブリソースのキャッシュ状態から特定サイトへのアクセス履歴の有無を判断したりする行為への対策として活用できます。

Canvas API:オフスクリーンキャンバスで言語属性指定可能に

  • オフスクリーンキャンバス新しいウィンドウで開きます(DOMツリー―≒表示範囲から切り離されたところに処理領域を設置したキャンバス)について、CanvasTextDrawingStyles新しいウィンドウで開きますlang属性を追加することで、テキスト描画と指標の言語を直接制御できるようになります。

Permissions Policy:違反タイプ追加

  • Permissions Policy新しいウィンドウで開きます(ブラウザの特定機能/APIの有効化/無効化を切り替える機能)について、クロスオリジンiframe(別ドメインのコンテンツ/パーツをiframeで埋め込み)の違反レポート向けに「潜在的なPermissions Policy違反」という新しい違反タイプが導入されます。
    • 既存の権限ポリシーとiframe要素新しいウィンドウで開きますallow属性新しいウィンドウで開きますの内容を調べて、伝播している権限の競合を検出します。
    • 違反情報はiframeが読み込まれたときに送信されます。

Storage API:ローカルストレージの利用量/容量確認

  • StorageManager新しいウィンドウで開きます.estimate()メソッド新しいウィンドウで開きますStorage_API新しいウィンドウで開きます(ストレージ操作)を使う際にローカルストレージの容量が有限の場合、現在サイトが利用しているストレージ利用量と、利用可能な容量の上限を取得できるようになります。

Private Aggregation API:エラー集計レポート機能の強化

  • Private Aggregation API新しいウィンドウで開きます(クロスサイトアクセス集計)で、特定のエラーが発生した場合にのみ送信されるヒストグラムの登録を行えるようになります。これにより、エラーの頻度と測定項目で測定値を分割できるようになります。

JavaScript:正規表現エスケープ

Speculation Rules API:追跡用識別名を付与する機能

  • Speculation Rules新しいウィンドウで開きます(投機ルール…表示高速化技術の一種で、パターン推測でサブリソースの投機的な先読みを行う)の設定項目に以下のオプション項目が追加されます。
    • tagフィールド新しいウィンドウで開きます…ルールの適用条件に識別名をつけることができます。ルールの追跡を行う場合等に活用できます。
    • 関連付けられたタグはSec-Speculation-Tagsヘッダーで送信されます。

Web Authentication API (WebAuthn):パスワード登録済みサイトで認証をパスキーにアップグレード

  • WebAuthn新しいウィンドウで開きます(パスキー認証等)で、ブラウザにパスワードが登録済みの場合、それをもとにしてパスキー認証を作成できるようになります。

WebGPU:フォールバックアダプター判定

  • GPUAdapterInfoインターフェイス新しいウィンドウで開きます(GPUアダプターの情報取得)で以下の属性が使えるようになります。
    • isFallbackAdapter属性新しいウィンドウで開きます…GPUが「フォールバックアダプター」であるか否かをtrue/falseのブール値で返します。
      (フォールバックアダプターは、互換性・動作の予測可能性・プライバシー強化と引き換えに、パフォーマンスが大きく制限されます)

オリジントライアル(先行試験実装)

サイト管理者がオリジントライアル登録することで、以下の機能が先行利用可能になります。

Audio Output Devices API:埋め込みiframeの音声出力先切り替え

  • setDefaultSinkIdAudio Output Devices API新しいウィンドウで開きます(スピーカー出力等)で、サブフレーム(埋め込みiframe等)で使用するデフォルトの音声出力デバイスを、トップレベルフレーム(最上位の親フレーム)側から切り替えることができます。

Performance API:Webの速度が通常時の値か判定する機能

  • confidenceフィールド…Performance API新しいウィンドウで開きます(パフォーマンス測定)のPerformanceNavigationTimingインターフェイス新しいウィンドウで開きます(段階別の所要時間測定等に使う)用の追加フィールドで、測定値がそのWebシステムの通常時のパフォーマンスであるか否かを判定します。
    特定の高負荷状態(初回起動、重い拡張機能、別タスク/アプリによるビジー等)によってパフォーマンス値の分布ピークが複数発生する(二峰性がある)場合に、外部要因による現象を切り分けて分析できるようになります。

デバイス拘束型セッション認証情報

  • Device Bound Session Credentials(DBSC)新しいウィンドウで開きます…セッション認証情報が認証を行った特定の端末でのみ有効になるように制限をかけられるようになります。セッションハイジャックやID認証情報の盗用といった不正アクセスへの対策として活用できます。高いセキュリティを求められるWebシステム開発向けです。

Canvas API:キャンバス内双方向テキストの実装改善

※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面新しいウィンドウで開きますから対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説新しいウィンドウで開きますを参照)

仕様変更

CSS:筆記体フォント使用時に文字間余白を無視

  • letter-spacingプロパティ新しいウィンドウで開きます(文字間の余白指定)の設定が、筆記体フォント使用時に無視されるようになります。筆記体として本来あるべき、文字同士が繋がった見た目の維持が優先されます。

CSS:既読リンク用CSSの適用条件制限

  • セキュリティ対策(サイドチャネル攻撃対策)のため、:visited擬似クラス新しいウィンドウで開きます(既読リンク向けのスタイル指定)の適用単位が細分化されます。これにより、悪意あるサイトが「(別サイトの)○○のページが既読のユーザー」を標的とした既読リンク用スタイル指定を行っても無効化され、安全性が向上します。
  • 変更前:
    • 未読/既読は、リンク先URL単位でのみ管理されます。リンク先が一度既読になったら、別のサイトで同じURLへのリンクを見ても既読用のスタイルになります。
    •  ↓
  • 変更後:
    • 未読/既読は、リンク先URL単位に加え、リンク元のサイト単位でも別々に記録されるようになります。リンク先が一度既読になっても、リンクを踏んだ場所以外のサイトで同じURLへのリンクがあった場合は、未読用のスタイルが適用されます。
    • リンク元がページ内インラインフレームで、インラインフレームとページの(アドレスバーの)ドメインが異なる場合は、それもさらに別々に未読/既読が分けてカウントされるようになります。(リンク先、リンク元iframe、リンクiframeが埋め込まれた親フレームのどれか1つ違ってもカウントが別になります)
  • 詳細はGoogleの記事「:visitedのプライバシー保護を強化新しいウィンドウで開きます」にて紹介されています。

CSS:要素属性値取得の仕様変更

  • attr()関数新しいウィンドウで開きます(指定属性の属性値を取得し、要素のスタイル指定に使用する)で、属性値のデータをそのまま文字列型として扱う場合のキーワードがstringからraw-stringに変更になります。

CSS:var関数のデータ検証仕様変更

ストレージ操作系各種API:Blob URLへのストレージパーティショニング適用

  • ストレージパーティショニング新しいウィンドウで開きます(プライバシー保護目的で行われる、端末内データ保存領域のサイト/ドメイン別分割)の仕様変更です。
    Blob URL(ブラウザがデータ保存・参照用にcreateObjectURL()メソッド新しいウィンドウで開きますで生成する一時的なURL)が、新たにストレージパーティショニングの対象になります。これによりセキュリティ的にはFirefoxやSafariと同様の実装となります。
    • クロスサイトアクセス追跡情報をBlob URLに保存・参照する場合、埋め込み元ドメイン名(トップレベル/フレームオリジンおよびhas-cross-site-ancestorのブール値)をストレージキーに指定しないと、クロスサイト追跡が遮断されます。
    • レンダリング処理によりBlob URLへの別ドメイン遷移(トップレベルナビゲーション)が発生する場合、強制的にnoopener新しいウィンドウで開きます(遷移先から遷移元へのアクセス権を遮断する)扱いになります。
    本変更を一時的に猶予したい場合、PartitionedBlobURLUsageポリシーを設定すると、同ポリシーが有効な間は元の仕様に戻せます。

クリックイベントの発行先条件変更

  • pointerupイベント新しいウィンドウで開きます(マウスボタン押下や画面タッチの解除)発行中にポインターキャプチャー(途中でポインターがボタン等から外れてもボタン等がイベント受信を継続する)が発生した場合、clickイベント新しいウィンドウで開きますの発行先(⇒押した場所と離した場所が違う状況で、どこがクリックされた扱いになるか)が変更になります。
    • 変更前:pointerdownイベント新しいウィンドウで開きます(マウスボタン押下や画面タッチの発生)とpointerupイベントの発行先の共通祖先のうち一番階層が近いもの
       ↓
    • 変更後:キャプチャーされたターゲット(移動前に押していたボタン等)

Fluentスクロールバー採用

  • Windows版・Linux版Chromeで、スクロールバーの表示が変更されます。
    • スクロールバーの形状がオーバーレイ(バー領域非占有)/非オーバーレイ(バー領域占有)とも変更され、Windows 11のFluentデザインシステムに適合します。
    • 非オーバーレイ版Fluentスクロールバーが、Windows版・Linux版Chromeの標準UIデザインになります。

Storage Access API:同一オリジンのポリシー適用を厳格化

処理進捗管理用プロパティの型変更

  • ProgressEvent.loaded新しいウィンドウで開きます / ProgressEvent.totalプロパティ新しいウィンドウで開きます(プロセス処理やデータ転送の進捗を返す)について、返す数値の型が64ビット符号なし整数(unsigned long long)から64ビット(倍精度)浮動小数点数(double)へと変更されます。これにより、小数を使った進捗処理等が可能になります。

SVG API:座標指定コンテンツチェックの利用情報変更

廃止・削除

FedCM:パッシブモードでの「別のアカウントを使用」機能削除

  • FedCMで複数のIdP呼び出しを一度に行えるようになったのに伴い、パッシブモードから「別のアカウントを使用」機能が削除されます。
    アクティブモードでは「別のアカウントを使用」機能は引き続き有効です。

    パッシブモードとアクティブモードの違い

    • パッシブモード(旧称ウィジェットモード)新しいウィンドウで開きます
      FedCMに対応したページを表示した瞬間に、既にログインしているアカウントを自動表示し、表示アカウントでの連携ログインをするか尋ねるモードです。PCでは右上、スマホでは下部に確認ダイアログが表示されます。ユーザーにログインの意思がなくても勝手に表示されます。
    • アクティブモード(旧称ボタンモード)新しいウィンドウで開きます
      ユーザーがログイン操作を開始したときに、認証ダイアログに連携ログインボタンを表示します。ページを表示した段階では勝手に表示されません。

Intl Locale Info APIのゲッターを非推奨化

  • Intl.Localeオブジェクト新しいウィンドウで開きます(数値表記規則等のロケール情報)のうち、週のデータ(週の開始日・終了日等)、時間表記(12時間/24時間)、書字方向等を拡張する「Intl Locale Info API新しいウィンドウで開きます」がChrome 99で実装されました。が、提案内容の更新に伴い一部ゲッターが関数に変更されたため、Chromeでも該当ゲッターのサポートを停止します。

Fenced Frame API:フェンス付きフレームの旧メソッド削除

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