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Chrome 117 仕様変更発表まとめ
Google Chrome 117の主要な仕様変更発表のまとめです。
要点
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Chrome 117 変更点
追加・拡張
CSS
- @starting-style…指定要素の色(hover等のアクションを伴わない通常表示時の色)について、初期指定色から別の指定色にトランジションで変更するスタイルを記述できるようになります。
- overlayプロパティ…最上位レイヤーの要素のトランジション終了時に、要素を最上位レイヤーで保持できるようになります。overlay: auto;で有効に、overlay: none;で無効になります。
- transition-behaviorプロパティ…トランジションの指定に複数の離散値を使えるようになります。
- サブグリッド指定…グリッドのレイアウト指定に使うgrid-template-columns&grid-template-rowsプロパティの値に、subgrid(子グリッド)を指定して入れ子グリッドを作成できるようになります。
- text-wrap: pretty…文末の単語が1語だけ単独で行頭に取り残されるのを防ぐような折り返し処理を行う(1行に最低2語以上割り振られるような地点で行を区切る)設定が可能になります。
- contain-intrinsic-sizeの値に、auto noneを指定できるようになります。
Web API
- 配列のグループ化…Object.groupByメソッドやMap.groupByメソッドを利用することで、配列をグループ化して扱えるようになります。
- クライアントヒントのキャッシュ消去…HTTPヘッダーでClear-Site-Data: "clientHints"と指定すると、クライアントヒントのキャッシュ情報を消去できるようになります。
- Clear-Site-Dataでのワイルドカード指定…Clear-Site-Dataヘッダーで消去する対象について、"cookies"(Cookie)・"cache"(各種キャッシュ)・"storage"(DOMストレージ)を個別指定(カンマ区切りで複数指定)する代わりに、ワイルドカード"*"を指定することで、全種のストレージを消去できるようになります。なお、現状Chromeで非対応な"executionContexts"(実行コンテキスト)についても、対応後にはワイルドカードでの一括削除に対応します。
- カスタム要素名取得…customElements.getName()メソッドで、定義されたカスタム要素のタグ名を取得できるようになります。
- イテレーターが便利に使えるようになるヘルパーメソッドが追加されます。イテレーターが返す全要素への関数適用、フィルターに引っかかる値のスキップ、等が可能になります。
- CaptureControllerインターフェイス(スクリーンキャプチャー等)でEventTargetメソッド(イベントの受け取り・リスナー付加等)が使えるようになります。
- PerformanceResourceTimingインターフェイス(通信等の待ち時間計測等)で、deliveryTypeプロパティが追加されます。リソースの配信形態(キャッシュから等)を指定できるようになります。
- プライベートステートトークンAPI(旧称トラストトークンAPI)…サードパーティ廃止後もなりすまし防止やボット排除等の不正防止策が機能するためのAPIが導入されます。
- RTCRtpTransceiverで、ネゴシエーション対象のRTPヘッダー拡張の種類を制御できるようになります。
- ビデオエンコーダーのVideoEncoderBitrateModeにquantizerを追加します。これにより、AV1・VP9・AVCのエンコードが可能になります。
オリジントライアル(先行試験実装)
- Compression Dictionary Transport…Brotli方式でWebコンテンツ等を高効率圧縮するための辞書を生成・共有する技術が利用可能になります。
- Webアプリ(PWA)内タブ機能…1つの親ウィンドウ内で複数のタブを配置・制御できるようになります。複数ファイルを同時に操作・編集したりするのに役に立ちます。
※オリジントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
仕様変更
- ポート番号の不正値検知…(url).portでポート番号を指定するときに、ポート番号のチェックが働くようになります。16ビット値(0~65535)を超過するポート番号が指定されると、強制的に80に変更されます。
- IPv6アドレス内にIPv4アドレスを埋め込む際の仕様がWeb標準に従うようになり、IPv4部分は常に数値4つを記述する(0を省略できない)ようになります。
- URLのパーセントエンコーディングで、これまでChromeでは「%00」(ヌル文字)が正常なURLパスとして処理されていませんでしたが、Web標準に準拠して正常なURLとして扱われるようになります。
デプリケーショントライアル(廃止猶予)
- WebSQL廃止猶予…WebSQLは廃止が予定されており、SQLite via Wasm等への以降が必要です。が、デプリケーショントライアルを申請するとChrome 123 (2024年3月)まで有効期間を延長できます。
※デプリケーショントライアルは、サイト管理者がオリジントライアル管理画面から対象オリジン(ドメイン)を登録し、発行されたトークンをHTMLにmetaタグとして設置した場合のみ、期間限定で有効になります。(詳細はGoogleの解説を参照)
廃止・削除
- unloadイベントハンドラーの非推奨化…ページ読み込み解除時に反応する仕様でしたが、モバイルブラウザでの実行信頼性が低く、かつバックフォワードキャッシュの妨げとなるため廃止されます。代替策としてはvisibilitychange(表示/非表示変更時に反応)やpagehide(ページ移動・リロード・ブラウザ終了時に反応)が挙げられます。
- SHA-1サーバー署名が非推奨化・対応停止されます。(SHA-1サーバー証明書は既に対応停止済みで、本件の影響を受けません)
- WebRTCで、2種類あるgetStats()のうち、非標準なコールバックベースの方(第1引数に応じて様々な結果が返るもの)が削除されます。
- WebRTC getStats APIがdataChannelIdentifierプロパティに対応するにあたり、接続確立前に行われた統計クエリにたいして「-1」が返される仕様が廃止されます。
- WebRTC getStats APIがencoderImplementationプロパティ・decoderImplementationプロパティ(映像エンコード・デコード実装名)に対応するにあたり、エンコード・デコード開始前に行われた統計クエリにたいして「unknown」が返される仕様が廃止されます。
- CSS -webkit-highlightプロパティ…テキストをハイライトする機能が廃止されます。移行先としてはハイライト用各種擬似要素(::selection / ::target-text / ::spelling-error / ::grammar-error)が挙げられます。
※参照:Chrome 117 beta - Chrome Developers (2023/08/16)
https://developer.chrome.com/blog/chrome-117-beta/
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